内側型野球肘

肘が痛いと言って来院されるスポーツ選手の中で最も多いものです

内側型野球肘は肘の内側に原因がある野球肘ですが、その大多数は肘の内側の骨につく腱や筋のタイトネスによるものです。ストレッチ不足やフォームの異常が元になっています。

痛みを起こす場所は大きく二つあります

①肘の内側の靭帯

ボールを投げるときには肘から先の部分(前腕)がやや外側に開くような力が加わります。この時に肘の内側にある靭帯が引っ張られて靭帯が伸びるストレスが加わったり靭帯が付着している骨の部分が剥離するような力が加わります。このような力は、ボールを投げる時、肘が下がっていたり、無理な遠投を繰り返したりすると強くなります。したがって筋力がまだ備わっていない選手では遠投を避けたが方が良いでしょう。

②肘の内側に付着する腱・筋

肘の内側には手首を曲げるいわゆるスナップを利かせる筋肉や前腕のひねる筋がついています。

これらの筋肉は 運動後にしっかりとストレッチをせずに、次の日の練習を迎えてしまうと伸び縮みする柔軟性が少なくなってしまい、骨との付着部を強く引っぱるようになってしまいます。練習後にしっかりとセルフマッサージ(別コーナーで記載します)をして柔軟性を保つことが大切です。

これまで書いたように、内側型野球肘 とはっきりすれば、ただ安静にしているのではなく、肘の内側に負担がかかる動作を改善するよう指導を受けたり、前腕の筋のセルフマッサージをしっかりと行う必要があります。逆に言うとこれだけで治る場合がほとんどです。

MRI検査で骨の部分が白く写ったりX線で骨がはがれた様にうつり「剥離骨折です」といわれてしまう場合がありますが手術になる例は少ないです。

図に示したA~Dの選手は、骨がはがれた様に写っていますが いずれも手術せずに1か月以内に症状なく復帰しています。

 靭帯が切れてしまい外側に不安定になっているものは、肘のぐらつきを治すために靭帯再建手術を行う場合もあります。

これは超音波検査やMRIで判定することができます

しかし、いくら内側型野球肘でも 適切なコンディショニングを行わずに痛いまま無理に投げ続けると下の図のように 大きく骨が剥がれてしまい、手術になってしまう場合もあります